東急不動産株式会社、株式会社リエネ、JFEエンジニアリング株式会社(以下「JFEエンジ」)、J&T環境株式会社(以下「J&T環境」)、株式会社Jバイオフードリサイクル(以下「Jバイオ」)※1、アーバンエナジー株式会社※2は、渋谷区代官山町にて開業した「Forestgate Daikanyama(フォレストゲート代官山)」と横浜市鶴見区の「Jバイオ横浜工場」を起点に各社のリソースを連携させ、食品廃棄物における社会課題の解消とサーキュラーエコノミーの実現に向けた活動に着手することを発表した。
※1:JFEエンジグループ(JFEエンジ、J&T環境)とJR東日本グループ(東日本旅客鉄道株式会社、株式会社JR東日本環境アクセス)の出資で2016年8月設立
※2:JFEエンジの100%出資で小売電気事業者として2013年12月設立
食品廃棄物リサイクルの課題
食品小売業・外食産業における食品リサイクル率は、製造業・卸売業と比べ大幅に低いのが現状だ。売れ残り商品や消費者による食べ残しなどは、プラスチック包装・楊枝など異物が多く混入しており分別の手間がかかる。そのため、飼料化・肥料化には不向きであり焼却処理に回さざるを得ず、このリサイクル率を上げることは困難であり大きな社会課題となっている。
※3:(出典)農林水産省 食品廃棄物等の年間発生量及び食品循環資源の再生利用等実施率について 推計結果
バイオの力で発電活用と残渣活用を両立
Jバイオでは、食品廃棄物をメタン発酵※4によりガスを発生させ、そのガスで電気をつくり、残渣を肥料に再利用する。工場は横浜市鶴見区に立地し、食品廃棄物を多く排出する首都圏の受け皿になっており、従来焼却処分するしかなかった「容器包装プラ等の異物が混入する食品廃棄物」をそのまま受入れ、機械分別により有機物を取り出す設備を備えている。
これにより、焼却処分される食品廃棄物を減らし、食品リサイクル率向上に大きく貢献するとともに、食品廃棄物由来のカーボンニュートラルな電力を供給することでCO2削減にも貢献する。また、メタン発酵残渣は肥料として再利用しており、2022年9月に固形肥料「はまのみのり」、液体肥料「はまのしずく」が農林水産省より肥料登録の承認を受け多数の農家で使用が始まっている。
※4:酸素の無い環境でメタン菌と呼ばれる微生物が有機物を分解し都市ガスの原料でもあるメタンを作り出すこと
付加価値を創造しながらダブルリサイクルループを実現・拡大
東急不動産はフォレストゲート代官山だけでなく、「東急プラザ渋谷」、「東急プラザ蒲田(東急ストア蒲田店・蒲田プラザ店)」他からの食品廃棄物をメタン発酵させ、生み出される「電力」と「肥料」を全て有効活用する。「電力」は、アーバンエナジーとリエネの連携※5により、再生可能エネルギー由来の電力※6としてフォレストゲート代官山へ供給されるため、CO2削減に貢献する。「肥料」は、協力農家との連携により農作物の育成に使われ、パティシエ(江藤 英樹氏)による商品創造を通じて、高品位スイーツ等として生まれ変わり、フォレストゲート代官山で今後販売される。
このダブルリサイクルループは、廃棄物の収集・受入れを担うJ&T環境をはじめとする収集運搬業者、廃棄物の処理から発電及び肥料生産を行うJバイオ、食品リサイクルプラントの設計等を担うJFEエンジ(Jバイオは、JFEエンジが建設)、農作物の育成を行うやさいの秋葉(神奈川県藤沢市)、ふるうつらんど井上(神奈川県藤沢市)、株式会社Fruitful sun vesta(神奈川県藤沢市)など、業界の垣根を超えた多様な事業者の連携により実現し、持続可能な形で拡大していく。
消費者の人々にも、素敵なスイーツを食べるという楽しい体験をきっかけに、単純なリサイクルだけでなく、形や品を変えて循環する今回の取組みについても理解してもらい、このループの重要な一員として参加してもらう。今後も、様々な連携を通じて、代官山からサーキュラーエコノミーの実現を目指していく。
※5:アーバンエナジーは小売電気事業者、リエネは取次事業者として連携
※6:Jバイオを含むアーバンエナジーの電源に東急不動産保有のFIT発電所のトラッキング付非化石証書を割当てることに加え、東急不動産保有の非FIT太陽光発電由来の電力も活用することで実質的に使用電力量の全量を再エネ化